ニュースなどでみかける悲惨な交通事故、軽自動車は危ないといわれる理由を解説します。
軽自動車の定義
日本独自の規格として軽自動車があります。普通自動車との違いは、ボディの大きさや、排気量、定員数などとなっています。現在の軽自動車の規格をみてみましょう。
ボディの大きさ
- ・排気量660cc以下
- ・長さ3.4m以下
- ・幅1.48m以下
- ・高さ2.0m以下
上記の三輪および四輪自動車とされています。
定員数
定員は最大で4名まで、それ以上の乗車は法律違反となってしまいます。貨物積載量は人も含めて350kg以下と決められています。
ナンバープレート
自家用軽自動車の場合、黄色に黒文字となっていますが、軽自動車でも、特別仕様ナンバープレートを申請すれば白ナンバーを付けることができます。日常生活で使う軽乗用自動車の場合、5ナンバーもしくは7ナンバーになります。
普通自動車との違い
普通自動車は、道路交通法では、車両総重量3,500kg未満、最大積載量2,000kg未満、乗車定員10人以下を満たす車です。道路運搬車両法では、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車および小型特殊自動車以外の自動車という定義があります。軽自動車との違いは、ボディの大きさ、乗車人数、税金となります。
軽自動車がおすすめのシチュエーション
まず軽自動車はどのようなシチュエーションに向いているのかを考えます。
単身者
一緒に生活する家族がおらず、一人で車に乗ることが多い単身者にはおすすめです。乗車定員に法律上の制限があるためファミリーカー向きとはいえないからです。ひとりであれば、ちょっと出かける際にも友人を乗せることくらいはできるでしょう。
2台目
家族が常時車を使用する場合、1台では不便なときがあります。2台目として、通勤専用、子どもの送迎用などと役割を変えて使用する際には軽自動車はちょうどいい選択といえます。
運転に自信がない
普通自動車と比較して、小回りが利くことや駐車が楽なことなどを考慮すると、軽自動車は運転に自信がないひとにおすすめです。狭い道でのすれ違いも容易におこなうことができ、免許をとりたての初心者ドライバーにもちょうどいいかもしれません。
軽自動車のメリット
交通手段が不便な地方では特に軽自動車の普及率が高く、それは日常の足となっています。ちょっとした買い物や通勤などで欠かせないものでその役割は非常に大きいものといえます。そのため、街乗りとしての用途が圧倒的に多くみられます。
コンパクト
小さめなボディを活かした小回りが利く点が最大のメリットです。日本ではよくみられる細い道路や狭い駐車場ですが、そのような場所でも余裕をもって走ったり、駐車することが容易にできます。コンパクトにみえる軽自動車ですが、車内は広いスペースとなっているのが近年の軽自動車の特徴です。
維持費の安さ
車検料や自動車保険料、税金、高速道路の料金などが、普通自動車に比べ軽自動車は安く設定されています。また車体自体も普通自動車に比べ、安い場合が多いためコストパフォーマンスの面では優秀です。ちなみに軽自動車税は、一律料金で \10,800です。
燃費の良さ
軽自動車はボディサイズの制限のために重量が軽くなっているため、燃費が良い傾向にあります。また、排気量が少ないため少ない燃料で運転することになり、ガソリン代を安く抑えることができます。
軽自動車のデメリット
メリットがある一方でデメリットもあります。それらを確認しましょう。
パワー不足
エンジンの排気量が小さい軽自動車は、坂道などでパワーの弱さを実感します。それは高速道路などでも同様、加速が弱いためスピードに乗るまでに車に負担がかかりやすい状況となります。乗員数や荷物の量が増えるとパワーが落ち、燃費が悪くなります。
車内の狭さ
近年の軽自動車は車内スペースが広くなっているとはいえ、大人が4人乗車するとかなり窮屈に感じるでしょう。車内の狭さは積める荷物の制限にもつながるので軽自動車への乗り換えを考えている場合には十分に検討する必要があります。
安全性
コンパクトなボディや重量の軽さは、事故にあった場合の安全性と直結します。最近の軽自動車は安全性能が高められているとはいえ、普通自動車と比較すると衝撃には弱いといえるでしょう。また特に近年の軽自動車では車内を広く保つために車高を高くする傾向にありますが、それは高速道路や橋の上などで風にあおられやすい形状となってしまいます。それが事故につながる可能性も否定できないというデメリットがあります。
軽自動車が危ない理由
車体の軽さやコンパクトなボディは軽自動車ならではの特徴で、利便性に長けています。しかし事故となるとそれらの長所が危険な状況となる場合があります。
それは車同士の衝突事故に現れます。軽自動車よりも重量のある車との衝突では、車体が重いほど安全性が高いといえ、例えばそれがトラックだった場合、軽い軽自動車は少しの接触でも簡単に跳ね飛ばされてしまいます。高速道路などスピードがでているような道路での衝突では、軽自動車は元の形がわからないほどに潰されてしまうこともあるのです。それには、軽自動車の全長が短いこと、ボディが薄いこと、車内の広さを重視するあまり、高さを出すことで横からの衝撃に弱くなってしまうことが原因となっています。
ただし、事故といっても単独の衝突事故であったり、対人の場合には軽自動車である方が被害が最小限に抑えることができるといった傾向もあるのです。車体が軽いことで、事故の際に起こるパワー自体も少なく大事故につながりにくいというわけです。しかしながら、無傷で済むというわけではありません。軽自動車でもスピードが出ていたり無謀な運転で起こった事故などでは単独でも死亡事故につながる可能性は十分にあるのです。また災害にあってしまい、自家用車で避難をする場合でも軽自動車では車内が狭いことからエコノミー症候群や一酸化炭素中毒などのリスクがあがりやすいといえます。
安全な車種の選び方と対策
軽自動車が危ないといわれる理由を理解したところで、安全な車種の選び方と対策を知っておきましょう。
事故があったときのことを考慮する場合、どのような車種が安全といえるのでしょうか。選び方と対策をみていきます。
視界が良い
窓が大きく設定されていることで、前方だけでなく車両の周囲もよく見渡せるようになります。ドアミラーもデザインにこだわりすぎて見ずらいようでは意味がありません。自身の目でしっかりと車両の感覚や周囲の距離感がわかるような視界の良さがポイントです。
後部にスペースがある
後部にスペースがある車は、衝突時の衝撃を後ろに逃がしやすく、安全性は高いです。後ろが詰まっているものは衝撃の逃げ場がなくなり、車内の人間への影響が強くなるため、危険度は高いです。安全性を考慮するなら、後部に余裕があり、ゆったりとした車内空間のあるものを選びましょう。
先進安全装備が付いている
車の安全装置の代表的なものとしてエアバックがありますが、近年では正面だけではなく、側面も守るエアバックがついている車もあります。
また先進安全装備では衝突軽減ブレーキや車線維持支援システム、誤発進抑制機能などさまざまな危険を予知し注意を促してくれる機能が開発されています。
そのようなシステムが搭載されている車であれば、事故にあう確率を下げることができるでしょう。
安全性の高い車
自動車アセスメントは、日本で実施されている自動車の安全性の評価です。アメリカで実施されているNCAPの日本版であることから、JNCAPとも呼ばれています。
自動車アセスメントで最高評価「ファイブスター賞」を獲得している車種の紹介です。
順位 | メーカー | 車種名 |
---|---|---|
1位 | スバル | レヴォーグ |
2位 | スバル | レガシィ アウトバック |
3位 | トヨタ | ハリアー |
4位 | ホンダ | ヴェゼル |
5位 | 三菱 | アウトランダーPHEV |
6位 | 日産 | ノート/ノートオーラ |
7位 | 日産 | ルークス/ルークス ハイウェイスター |
8位 | 日産 | デイズ/デイズ ハイウェイスター |
9位 | トヨタ | ヤリスクロス |
10位 | ホンダ | フィット |
上記のようになっています。普通自動車がほとんどであるものの、7位と8位には軽自動車がランクインしています。このことからもわかるように、近年の軽自動車は安全性も高くなっているということです。
まとめ
どのような用途で車を利用するのか、家族構成などを考慮して車種を選ぶようにしましょう。軽自動車が危ないといわれるのは事故にあった場合です。
安全性の高い車を選ぶことは、命を守ることにつながります。なによりも事故を起こさないように日頃から丁寧な運転を心がけるようにしましょう。