高級車は個人事業主の社用車として経費に計上できるのでしょうか?個人事業主の税機対策とあわせてみていきましょう。
個人事業主とは
個人事業主とは、法人を設立せずに個人として事業を行う人のことを指します。個人事業主は、自分自身が事業の責任者であり、事業に関するすべての利益と損失を個人で引き受けます。法人設立に比べて手続きが簡単で、運営も柔軟です。
また法人設立に伴う初期費用や維持費がかからないため、コストを抑えることができます。一方で、法人と比べると信用度が低いと見なされることがあり、大きな取引や融資を受ける際に不利になることがあります。事業の失敗や債務に対して個人としての責任を負うため、リスクも大きくなります。
このように個人事業主としての活動は、自由度が高く、小規模な事業やスタートアップに適している一方で、リスク管理や経営の責任をしっかりと認識することが重要です。
特徴
登録が簡単。個人事業主としての開業は比較的簡単で、通常は税務署に「開業届」を提出するだけで済みます。
経費の処理
事業に関する経費を収入から控除できるため、税負担が軽減されることがあります。
責任の所在
事業の負債や法的な問題について、個人事業主が全責任を負います。
個人事業主の納税の仕組み
個人事業主の納税の金額は主に、所得によって決まります。所得が多いほど納める税金の金額は大きくなり、所得が少ないほど納める税金の金額は少なくなります。
そのような中で節税をするためのポイントとして、経費と控除があります。経費と控除が多くなると所得の金額が少なくなり、納税額が少なくなるといった仕組みがあります。
経費
経費には以下のようなものが含まれます。
人件費 / 給料や賃金 / 労働保険や社会保険料 / 仕入原価 / 家賃 / 光熱費 / 通信費 / 消耗品費 / 交通費 / 広告宣伝費 / 接待交際費 / 減価償却費/保険料 / 委託費 / 教育研修費 / その他
控除
所得控除が大きいほど課税所得が減るので節税になります。
基礎控除
全ての納税者に適用される控除で、2020年以降は年間48万円です。
青色申告特別控除
青色申告を行う個人事業主が適用できる控除で、帳簿を正しく記帳し、確定申告を行うことで最大65万円の控除が受けられます。
事業所得控除
事業に関連する必要経費を収入から差し引くことができる控除です。
社会保険料控除
国民健康保険料や国民年金保険料など、支払った社会保険料を全額控除できます。
生命保険料控除
生命保険や介護医療保険、個人年金保険に支払った保険料が控除対象となります。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済に加入している場合、その掛金が全額控除されます。
配偶者控除・配偶者特別控除
所得が一定額以下の配偶者がいる場合、配偶者控除が適用されます。また、配偶者の所得が一定範囲内の場合、配偶者特別控除も適用されます。
扶養控除
扶養親族(16歳以上)を養っている場合、その人数に応じて控除が適用されます。
医療費控除
自己負担した医療費が一定額を超えた場合、その超過分が控除されます。
寄附金控除
特定の団体に対する寄附金が控除対象となります。ふるさと納税もこの対象です。
上記の控除を受けるためには、支出の証拠となる領収書や証明書をしっかりと保管しておく必要があります。
高級車は経費にできる?
個人事業主の納税の仕組みから考えて節税対策には、経費と控除がポイントとなることがわかります。経費の中には交通費といった事業に関連する交通機関の利用費用やガソリン代が含まれます。つまり事業に必要な車であれば、経費として計上することができるのです。
経費となる範囲
車両購入費 / 自動車税 / 自動車重量税 / 消費税などの各種税金 / 自賠責保険料 / 車検代 / ガソリン代 / 駐車場代 など勘定科目については、それぞれ適した項目に当てはめる必要があります。
高級車で税金対策
取得価額の高い高級車を社用車として購入し、経費計上するのは個人事業主の税金対策としてのテクニックといえます。事業に必要な車両にかかる多くの費用を経費にできることがわかったところでポイントを押さえておきましょう。
車種に気を付ける
趣味性の高いスポーツカーのような車は社用車と認められないケースがみられます。多くの車の中から事業用の車としてスポーツカーを選ぶ必要性の説明ができない限り、経費計上を否認されてしまうリスクが高くなってしまいます。
中古車という選択
車を購入する際は減価償却となります。高額な物品を購入した場合は、その耐用年数に合わせて分割して経費を計上するという方法です。個人事業主が車を一括購入する場合、一般的には減価償却のルールに沿って複数年に分けて経費計上することになります。耐用年数は固定資産の種類ごとに定められており、中古資産は新品の場合よりも耐用年数が短くなる仕組みです。そのため高級車でも中古車を選択することでより高い節税効果が期待できるのです。
ローンやリースでも
ローンで車を購入した場合、減価償却の計算自体は変わりません。ローンの場合は利息が発生しますが、支払い利息も経費として計上できます。リースしている方でも、支払い料金を経費にできます。リース料の支払い時に、支払手数料などの名目で計上することができます。リースは減価償却の計算が不要で、経費計上しやすいのがメリットです。
まとめ
個人事業主の税金対策として、高級車を経費にすることは可能です。ルールを守っていれば問題なく計上することができます。個人事業主の納税の仕組みを考慮しながら車を選択するといいでしょう。